英語教員のための、毎日の授業ブログ

小中高10年間の英語教育実践を振り返るブログです。

都立入試英語 H31分割後期二次 第四問②

前回の続きです。

 

今日は、グラフィックレコーディングを使った解説について紹介したいと思います。

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↑こちらが黒板いっぱいに板書された状態だと思ってください。

 

実際の授業の流れ

  1. 脚注をrepeat after meで確認。脚注を使ってスキーマの活性化
  2. 板書を使って、リテリング
  3. 答え合わせ

1.脚注をrepeat after meでスキーマの活性化

例えば今回は脚注に「"exchange student"交換留学生 "confidence"自信 "be supposed to"~することになっている "completely"完全に "out of"のうち~ "focus on"に焦点を当てる "express"表現する」が出ていますが、この日本語を見ただけでも、だいたいどんな話なのか想像することができます。あえて脚注にざっと目を通し、話への「心づもり」をさせることによって、生徒が今までの経験や知識を活用することができるようになり、物語の流れをつかみやすくなります。

 

本来は、repeat after meで発音練習をする必要はないのですが、ただ日本語を読み上げたりするだけでは授業の流れが悪くなります。8ビートに乗せてリズムよく練習すると生徒の集中力も上がっていく気がします。日本語はリピートしながら目で読めば十分なので、読み上げることはしません。

 

いわゆるrepeat after meにおすすめなのが、ペンビート。指パッチンや拍手でリズムをとってもいいのですが、8ビートにするだけで生徒が楽しんでくれます。

こちらの動画をみれば、ものの10分でできるようになります。生徒が喜んでくれるので、ぜひ習得してみてください。


【ペンドラム】基礎の基礎を徹底解説! ~8ビート編~

 

2.板書を使って、リテリング

主要な登場人物を確認した後、絵を頼りに、できるだけ簡潔に物語を再現します。一コマ2,3分くらいずつで確認していきます。パターンはいろいろあって難易度が低い順に

  1. 教員の一人語り
  2. 教員が日本語で生徒に質問しながらリテリング
  3. 教員が英語で生徒に質問紙ながらリテリング
  4. 生徒が日本語でリテリング
  5. 生徒が英語でリテリング

生徒の様子で変化を加えつつ、割合を変えながらやるのが良いかと思います。

 

3.答え合わせ

以下問題種ごとに書きましたが、基本的な流れは、「①板書からどのパラグラフで書かれている内容かを探す→②本文中の根拠をみつける」です。②はグラフィックレコーディングのイメージですぐわかるものなら、省略することが多いです。

 

問1

これは第三問の対話文問題と同じように、前後から根拠となる文を探します。感情を読み取る問題が多いので、グラフィックレコーディングの表情に注意します。

 

問2

時系列整序問題は、絵と英文を当てはめながら、黒板にアイウエを書き込んでいきます。

 

問3(1)~(3)

場面ごとの内容把握問題なので、絵からパラグラフを見つけ出し、絵と合うものを選んでいくだけで解けるものが多いです。ややこしいものは本文の根拠となる部分を探します。

 

問4(1)(2)

問3と違いパラグラフをまたいだ問題が多いことに注意しながら、板書を手掛かりに「どのあたりに書かれていた話か」の見当をつけた後、本文から根拠となる部分を探します。

都立入試英語 H31分割後期二次 第四問①

実際の都立高校入試の過去問を使って、どのように授業をしたかを紹介します。

H31分割後期二次の問題は、以下の東京都教育委員会のホームページで公開されていますので、そちらをご覧ください。

 

www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp


長文読解をパラグラフごとに大意を掴ませるという指導法は多いと思う。

例えばH31分割後期二次の第四問だと

  1.  両親を説得→留学に向けて準備
  2. 留学先へ到着。ホストファミリーに会う
  3. 学校へ初登校。自己紹介をする
  4. 英語が喋れず困る
  5. 図書館での待ち合わせに遅刻(3:15と3:50を聞き取り間違える)
  6. 野球に誘われる。気乗りしないけど行くことに
  7. 野球で活躍。みんなに励まされる
  8. 自信を取り戻す

のように、生徒とやり取りをしながら確認し、上のような板書をすることが多いだろう。英語のキーワードだけ拾って板書することもあるかもしれない。

 

これをグラフィックレコーディングにしたのが下の画像

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グラフィックレコーディングにはいろいろなメリットがあるのだが

  1. 日本語の箇条書きと比べた時の、視覚的なわかりやすさ、情報量の多さ(特に登場人物とその表情の変化)
  2.  長文問題をわかりやすく解説しようとして、英語→日本語の訳読、また日本語でストーリーだけを教員が喋って終わってしまうのを防ぐ
  3. 低学力の生徒への問題演習時のスキャッフォルディング

 

都立高校入試問題の演習は、①問題演習(生徒が自分で解く)→②解説の2時間で行うことが多いと思う。

私は①問題演習②解説の両方で活用している。

 

①問題演習の時は、生徒が問題を解き始めて半分くらい時間がたったところから板書を始める。(慣れてくれば5、6分で描くことができる)

早く解き終わった組は各自で確認用にちらちら見ており、低習熟度で臥せっている子には「絵をヒントに、とにかく自分で解いてごらん」と声掛けをして回る。

英語を苦手にしている人でも、問2の時系列問題は絵を当てはめるだけなので、板書をみれば解けてしまう。

 

次回は②解説時の活用 について書きたいと思う。

 

 

都立高校入試問題 第四問

中三の後半になってくると、模擬試験や過去問を使って、入試問題演習を取り入れる学校も多いのではないかと思う。

1時間で解く→解説 の授業スタイルがおそらく一般的だろう

私は都内の中学校に勤務していたので、都立高校の入試問題の演習を何回かした。

限られた時間の中で、習熟度に差のある生徒に「答えのある問題の解説」を一斉授業をするのは、どの習熟度に合わせればよいのか、いつも悩んでいた。

 

特に大問4は長文の物語文で、苦手意識のある生徒の中には、読むことそのものをあきらめる生徒もいた。

その中で開発(?)したのが、グラフィックレコーディングを使ったパラグラフ要約法である。

 

次のブログで、実際に授業で扱った平成31年度分割後期の問題を例に、具体例を紹介しようと思う。